Messageアドバンテッジパートナーズ共同代表からの挨拶

2024年2月

アドバンテッジパートナーズは、1997年に日本で最初のプライベートエクイティ(PE)ファンドを設立以来、おかげさまで順調に発展して参りました。

遠くない将来に日本のM&AとPE市場を振り返る時が来たら、2023年がその後の市場の大きな成長の重要な転換点になった年との評価になるでしょう。1998年からのM&A統計を発表していますMARRによりますと、日本企業に対する投資ファンドによるM&A金額は、2023年は5兆3,338億円で、前年の4兆0,868億円を1兆2,470億円、30.5%上回り、2年連続で最高額を更新しました。数千億円の規模の優良MBO案件がひしめき合い、2兆円を超える案件も出た一年でした。1997年に産声を上げた日本のPE市場は、四半世紀強の年を経て、本格的成長のステージに入りました。今後、急速に欧米市場の規模にキャッチアップしていくに違いありません。この非連続的とも思える市場の急速な成長には、複数の背景があります。四半世紀の間に多くの中規模の非上場化案件あるいは大企業の部門売却の案件が事例として積み上がり、企業経営者・オーナー企業・オーナー創業者等の中で、M&Aがひとつの有効な選択肢としての認識ができたこと、それに伴い、世界のPE投資ファンド運営会社が日本市場向けの資金を十分に準備してきたこと、コーポレートガバナンス・コードの導入を背景とした東証による株式市場の再構築の推進、そしてアクティビスト・ファンドの活動の活発化、大きくこれら4つの要因が複合的に作用したと考えられます。これらの要因は時代の徒花的な短期的なものではなくその作用の長期的継続が見込まれるため、日本のM&AとPE市場の本格的成長は、まさに緒についたばかりというべきです。

アドバンテッジパートナーズにおける2023年の活動では、それぞれの投資戦略が順調な進捗を見せております。

日本のバイアウトファンドは6件の投資回収と1件の新規投資、そして1,300億円規模 での7号ファンドの設立を達成しました。Asian Private Equity & Venture Capital Awardsにて「Exit of the Year -Small Cap」並びに「Fundraising of the Year -Mid Cap」を受賞したことを大変喜ばしく感じます。アドバンテッジパートナーズの諸活動を高く評価頂いた皆様に深く感謝申し上げます。

2016年に誕生したアジアファンド1号は新規投資の実行をすべて完了しました 。同時に複数案件の投資回収が始まっています。

上場企業成長支援プライベート投資のプライベートソリューションズファンドは、既に15年以上の期間の経験と30件を超える投資事例を積み上げてきました。

再生可能エネルギー・サステナビリティ投資戦略においては、アドバンテッジパートナーズグループがスポンサーである、ニューヨーク証券取引所上場の特別買収目的会社(SPAC)が、合併対象企業である株式会社JEPLANとの間で企業結合に関する契約を締結し、また、アドバンテッジパートナーズは水素バリューチェーン推進協議会と水素関連の投資ファンドの設立に向けて相互協力することに合意致しました。今後、本領域でもより多面的な事業展開が見込まれています。

2024年の日本は、元日に発生した能登半島地震と羽田空港における日本航空の旅客機と海上保安庁の輸送機の衝突という大事件で始まりました。地震で命を落とされた240人以上の皆様とそのご遺族、そして羽田での衝突事故で亡くなられた5名の海上保安庁職員とそのご遺族に、謹んで哀悼の意を表します。そして世界は終わりの見えないロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの紛争とそれにまつわる周辺の紛争の勃発などの地政学的な不安定要因が増加しています。CO2削減の目標の達成は遅延し、本年も温暖化に起因するエルニーニョ現象の発生等の様々な悪影響が予想されています。世界のPEファンド運営会社、就中、アドバンテッジパートナーズはそのような環境下、どのような投資活動を通してどのように世界の健全な発展に貢献していくのか、議論と実践を深めて参ります。そして、全てのステークホルダーの皆様により一層ご満足頂ける投資活動を推進致します。

共同代表パートナー
笹沼泰助、リチャード フォルソム