株式会社カチタス

株式会社カチタス

日本バイアウト

ファンド活用の経緯

市場の変化に適応したビジネスモデルを再構築

  • 中古住宅再生事業のパイオニアとして全国規模の店舗網を有していたが、リーマンショック以降、中古住宅の主な仕入れ先である競売市場が大幅に縮小し、競争環境が激化。
  • 新規事業として取り組んでいた貸金業、債権回収業、収益不動産関連事業でも苦戦。
  • 信用収縮により銀行からの資金枠が縮小し、不動産仕入れの難易度が高まっていた。結果、長期にわたって減収減益が続いていた。
  • 非上場化を伴う大胆な経営改革と、外部の力を活用した資金調達力の増強が必要と判断した。

投資に至った背景

中古住宅市場の拡大が予期された。

空き家問題などを背景として不動産ストック活用型の社会を目指す国の方針が追い風となり、中古住宅市場の拡大が期待できた。

直接仕入れによる再成長の見通し

競売市場は縮小しても、競売を経由しない直接仕入れ(買取り)量の拡大によって、再成長を実現できると考えた。

信用補完による仕入資金調達

ファンドによる信用補完を通じて仕入資金調達を増強できれば、競合上の強みになると判断した。

経営支援の切り口

新経営体制を構築

創業家がマネジメントから離れ、三和銀行、ベインアンドカンパニーおよびリクルートでマネジメント経験を積み重ねてきた新井健資社長をトップマネジメントとして招聘。また人材採用、マーケティング、経営企画などの領域でプロフェッショナル人材を登用した。同社の強みである物件仕入れの目利きの確かさやリフォームの企画力を生かすために、現場の統括は生え抜きの営業幹部が引き続き担当。新たな経営陣と生え抜き幹部が継続的に情報共有や意見交換を行うことで相互理解を深め、新経営体制の基礎を固めていった。

ビジネスモデルの抜本的転換 ~「買取り」仕入れへのシフト~

競売市場が大幅に縮小する局面においては、競売経由の仕入れから、物件の保有者から直接不動産を仕入れる「買取り」へのシフトが不可避と判断。まずは認知度を高めるためにブランディングとマーケティングを推進した。「価値をタス」という企業理念をもとに「カチタス」を新社名としたほか、地方エリアを中心にテレビ・ラジオCMなどのマスメディア広告を展開。販促手法も新聞の折込チラシから、自社ホームページや大手住宅ポータルを通じたWebマーケティングへと販促手法を転換した。並行して営業組織の強化にも着手。個々のスタッフの営業スキルで勝負すべく、人事制度を改善し、採用や人材教育にも注力した。さらに新卒採用専門チームの構築や能力開発制度の強化なども行なった。

M&Aや業務資本提携の推進

競争力が低下していた都市エリアで存在感を示していた同業大手、株式会社リプライスとの経営統合を実現。また「豊かな住生活」を提供するという点で企業理念が一致していた株式会社ニトリホールディングスとの資本業務提携も開始。顧客紹介や販売手法、商品調達、物流などの面でシナジーを追求した。

東証一部へと再上場

「買取り」中心のビジネスモデルを確立(競売仕入は1%以下へ)したことで、収益はV字回復。投資期間の6年間で、連結営業利益は11億円から75億円へと成長した。同期間、営業スタッフの年間報酬は平均31%アップ、年間休日数は50日以上増加。2017年11月には独自性のある戦略で成功した企業に贈られる「ポーター賞」を受賞し、同年12月には東京証券取引所第一部への再上場を果たした。